はじめに

私たちの愛犬も、年齢を重ねるにつれて少しずつ体の機能が衰え、できることが減っていきます。

そんな姿を目の当たりにするのはつらいものですが、だからこそ、シニア犬たちが心身ともに穏やかに、幸せな日々を過ごせるようにサポートすることがとても大切です。

老いてもなお、自分の“好き”を感じられる場所に行くこと。それがシニア犬の心の栄養となり、体の活力にもつながるのです。

本記事では、シニア犬の健やかな暮らしを支えるうえで、特に大切な4つの視点から、心と体の健康を守る方法をご紹介します。

目次
心の刺激を忘れない:好きな場所に行くことの力
・無理なく続ける運動と活動
・食事と栄養ケアで体を内側から支える
・信頼できるケア環境の整え方

心の刺激を忘れない:好きな場所に行くことの力

年齢を重ねた犬は、新しい刺激を求めるよりも、馴染みのある安心感を大切にします。

けれども、それは決して「何もしなくていい」という意味ではありません。むしろ“好きな場所に行くこと”は、シニア犬にとっては心を動かす貴重な瞬間です。

たとえば、昔から通っていた公園。若いころは駆け回っていたその場所も、今ではのんびり歩くだけかもしれません。

それでも、風の匂いや土の感触、そこにいる人々や犬たちとの出会いは、犬の脳に優しい刺激を与えます。

ある柴犬のモモちゃん(14歳)は、足腰が少し弱くなっても、毎週土曜日の「川沿いのお散歩」を欠かしません。

最近では歩ける距離が短くなり、飼い主さんがカートで運ぶこともありますが、川の音を聞き、草の匂いを嗅ぎながら過ごすその時間が、彼女の生きがいになっているといいます。

シニア犬にとって大切なのは、「かつてできたこと」を取り戻すことではなく、「今できる範囲で好きなことを続ける」ことです。心の中にある“好き”を絶やさずに育てていくことが、シニア期をより豊かに過ごす鍵となるのです。

無理なく続ける運動と活動

若いころのようなダッシュやジャンプができなくなっても、体を適度に動かすことは、シニア犬にとって健康維持に欠かせません。

むしろ、関節や筋肉が弱まるからこそ、やさしい運動を継続的に取り入れることが、日常の動作を支える体づくりにつながります。

重要なのは「その子に合った運動量と方法」を見極めることです。無理に長距離を歩かせるのではなく、いつもより少し短めでも、ゆったりとした散歩を定期的に行うことが効果的です。

滑りにくい床でのストレッチや、室内でも楽しめる軽い遊びもおすすめです。

たとえば、室内でおもちゃを使った「におい探しゲーム」は、筋力の負担が少なく、脳の刺激にもなります。

ラブラドールのリクくん(12歳)は、関節炎を抱えているため走ることは難しいですが、このゲームで活き活きとした表情を見せてくれます。

また、寒暖差の激しい季節には、無理せず暖かい時間帯を選んで外出することが大切です。ゆっくりとした運動でも、継続することで足腰の衰えを防ぎ、気分転換にもつながります。

食事と栄養ケアで体を内側から支える

シニア犬の体は消化機能や代謝能力が徐々に落ちていくため、若いころと同じ食事内容では不調につながることがあります。

そのため、年齢に応じたフードへの切り替えや、栄養バランスを見直すことが重要です。

まず意識したいのは、たんぱく質の質と量です。筋肉の減少を防ぐには十分なたんぱく質が必要ですが、腎臓の負担を避けるためには、高品質なたんぱく源を選ぶ必要があります。

また、関節ケアに有効なグルコサミンやコンドロイチン、抗酸化作用のあるビタミン類も積極的に取り入れたい栄養素です。

食欲が落ちてきた犬に対しては、温めることで香りを立たせたり、少量ずつ回数を分けて与えるといった工夫が有効です。

また、歯の健康も無視できません。口腔内のトラブルがあると食べること自体が苦痛になるため、日頃からの歯磨きや定期的な歯科チェックも欠かせないケアの一部です。

信頼できるケア環境の整え方

シニア犬の生活を支えるうえで、家庭内の環境づくりは重要なポイントです。特に足腰が弱くなってきた犬にとっては、ちょっとした段差や滑りやすい床が大きな危険となります。

まずは、生活動線を見直して、転倒のリスクを減らす工夫をしましょう。フローリングには滑り止めのマットを敷き、階段やソファの段差にはスロープを設けるのがおすすめです。

寝床も、ふかふかすぎず、しっかりと体を支えてくれるマットレスを選ぶと安心です。

また、老犬になるとトイレの失敗も増えてくるため、トイレスペースを清潔に保ちつつ、失敗しても叱らず、穏やかに受け止めてあげる心構えが大切です。

心のケアとしては、飼い主との穏やかな時間を持つことが何よりの薬になります。毎日の「なでなでタイム」や、名前を呼んで話しかけるだけでも、犬は大きな安心を感じるのです。

また、病院で定期検診を受けることで早期に病気の兆候を発見し、シニア期特有の病気にも備えることができます。

信頼できる獣医師と相談しながら、その子に合ったケアプランを立てましょう。

まとめ

シニア犬との暮らしは、決して「できなくなったこと」を数える時間ではありません。「今できること」「今だからこそ味わえること」を見つけ、大切にする毎日こそが、心と体の健康を支えるのです。

思うように動けなくなっても、大好きな場所に行く。体が少しずつ衰えても、美味しい食事とやさしい触れ合いで心を満たす。

そんな積み重ねが、犬の表情を明るくし、飼い主との絆をいっそう深めてくれるはずです。

彼らが歩んできた日々への敬意と、今を穏やかに生きるための知恵を胸に、今日もその足で“好きな場所”へと一緒に出かけてみましょう。

dpcmf197@yahoo.co.jp について

ターボん について 石堂孝英 公認心理士・臨床心理士 30年以上、人の悩みに寄り添い、カウンセリングなどを通じて、サポートを続けてきた。 また、犬の世話をして常に心の友として、長期間暮らす。犬の心を始め、さまざまなことを研究、研鑽をしている。
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